BLOG ヒラノの考えごと

月を眺める。2017/06/09

今日は今年一年の中で、月が地球から最も離れ、一番小さく見える満月なんだそうです。

「ストロベリームーン」と呼ばれているようです。

ストロベリー…

特に赤い感じはなく、普段の満月と同じように見えますが。笑

 

梅雨のこの時期にも負けず、雲ひとつなくコウコウと光ってます。

月を眺める。

 

以前、老人施設で仕事をしていたとき。

 

昔からお月様を見るのが大好きだったという入居者のおばあちゃんがいました。

 

軽く認知症が入り、一人で生活するのは危険だからと入所されました。

 

その方が
「家で生活しているときは、毎日今日はどんなお月様だろうと楽しみにのぞいてね、満月の夜は月を見ながら、お酒を一杯だけ飲むのが楽しみだったのよ」

と優しい表情でよく話していました。

 

その日はたまたまワタシが夜勤の日で…。

 

いつものように夕食が終わって、就寝介助(歯磨き、排泄の介助、パジャマに着替える等)を行なっていたとき…

 

「今日は満月だってテレビで言ってたよ」と。

「ここに入ってからは、お月様も見てないねぇ。久しぶりに見たいね」と…。

 

その方が生活していたフロアは認知症専門棟で、安全を確保するため、ありとあらゆるところに鍵がかかっていました。

 

もちろん、昼夜問わず一人で外に出ることはできません。

 

その日はどうしても…

その言葉を聞き流すことができず、全員の就寝介助を終えて、休憩に入ったときに、その方を迎えに行き、車いすに乗せて施設のベランダへ。

 

「キレイな満月ね。うれしい。うれしい。あんたも忙しいのに悪いね。ありがとう」

 

「短い時間でごめんね。でもキレイに見えてよかった」

そんな言葉を交わしながら、二人で2分程満月を見ました。

そんななんでもないなことが、

こんな小さなことが、

施設では難しいことだったりする。

 

施設のスタッフとしてはやってはいけないことだと自分でもわかっていた。

 

施設には施設の決まりが色々あるし、入居者はその人だけではないから。

 

その短時間でも、その人や他の人に
「もしも何かあったら」が許されない。

 

でも一緒に見たかった。

 

月を眺める。

 

時々、ゆったりとしたキモチで見るのもいいですね。